国政選挙のソーシャルメディアを内側から見て感じたことを書いてみよう。


こんにちは。田村です。昨日行われた参議院議員選挙ですが、ちょとご縁があり内側からソーシャルメディア運用をお手伝いさせて頂きました。

 

「ネット選挙解禁」と初めてネットを活用しての選挙活動について話題になったのが2014年12月の衆議院議員選挙でした。今回は国政選挙として2回目のネット選挙。何をいつどんなタイミングで発信し、有権者とどのようなコミュニケーションをとるのか、まだまだ手探り状態です。

「ソーシャルメディアが選挙結果に与える影響」「2016参院選において、ソーシャルメディアやネットはどう使われた方」的なデータや記事は各メディアから発信されていますので、そちらを参照にしてください。

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ほんとにいろいろ試行錯誤されている状態ですね。データ的にも次回に活かせそうなので、各党・各候補者さんは参考にしてほしいものです。

で、僕は今回内側にいましたので、直接感じたことを書いていきます。

 

1.まだまだ候補者さんや政党はソーシャルメディアを理解していない。

「リツイートってなんですか」「いいねとシェアの違いがわかりません」という感じの方も多くいらっしゃいました。別に上から目線で言ってるわけではなく、今まで必要無かったので当然です。

ただ、今後ソーシャルメディアなどネットを使って有権者にアピールする機会は確実に増えてくるはずです。いちはやく実際に取り組み、各メディアの特徴や文化などを体感しておくことが必要です。

 

2.従来の選挙活動と同じ感覚でソーシャルメディアでも発言をしている

顕著なのが「勝たせてください」「誠心誠意やります」的な投稿です。これ、リアルに目を見て手を握られ必死に言われると、グラっと来る有権者もいると思います。ただ、Twitterで「勝たせてください!」とだけ言われても、見ている側は「いや、アンタ勝たせて自分になんのメリットがあるん?」と思われて終わりです。

候補者がソーシャルメディアを利用することのメリットは、有権者との接触頻度です。実際に会わなくても頻繁に投稿をすることによって、顔や名前を画面に表示させることができます。そういう意味では「勝たせてください」と投稿し、顔と名前が露出することにメリットが無いとは言えません。

しかし明らかにリアルと異なるのは、候補者の感情や熱感はやはりPCやスマホの文字列で伝えることは難易度が高いです。なので、「自分が当選したらあなたにはこういうメリットがあるんです」「だから勝たせてください」という文脈で投稿することによって、有権者に響く投稿とすることができます。

 

3.実際に候補者自身が投稿することの難しさ

まあ、僕は選挙に出たことないのでわからないですが、多分選挙戦の2週間って想像を絶する忙しさだと想像できます。それでもがんばって投稿されている候補者さんはいらっしゃいいましたが、超多忙な中の投稿は「勝たせてください」と必死さをアピールするのみの投稿になりがちです。

このような状況では、専属の秘書さんやお手伝いのボランティアさんなど、2〜3人を専属担当にして各ソーシャルメディアアカウントを運用することを強くおすすめします。

有権者より「本人が投稿してないではないか」と批判を受けることを避けたいのであれば、プロフィール欄などに「本人と秘書で運用しています」と記載しておけば大丈夫です。

 

4.多少の批判には慣れていらっしゃる!

普段、企業のソーシャルメディア運用のアドバイスをする際には「炎上」や「誹謗中傷」を極端に恐れていらっしゃるケースが多いです。今回もお話しがあった時に「多少の批判はありますが気にせずいきましょう」と伝えたところ、「ああ、そんなのは慣れてるから大丈夫だよ。」と、今までに無い回答を頂き、逆に驚きました。

考えてみれば当たり前かもですが。

 

5.他党・他候補批判は盛り上がる

他党の党首や選挙区内の他候補の矛盾や失言を突く投稿をすると、通常投稿の2〜3倍の反応がありました。やっぱり人は「対立軸」が好きなようです。

ただ、反応が多いからと批判投稿ばかりしていると、自身の主張が薄れたり揚げ足を取られたりすることもあるので、ほどほどに。

 

さいごに

これ、ソーシャルメディアだけではなく、有権者が政治家に対して普遍的に感じていることかもしれませんが、「選挙のときだけ」運用するのはやめたほうがいいです。「選挙のときだけやな。あの人でてくるの。。。」と、ユーザーに悪い印象を与えてしまいます。。

特に今回初めて選挙活動にソーシャルメディアを取り入れた議員さんの中には、投票日当日7/10以降まったく投稿されていないアカウントもあります。続けてください。

 

んじゃ、普段は何を投稿したらいいの?ということになりがちですが、いくらでもあるはずです。自身の政治活動や主張はもちろん、趣味について投稿したり、プライベートな画像を掲載したり、なんでもできます。

逆に考えてみてください。上記「2」でお伝えしましたが、候補者「勝たせてください」と投稿して有権者が「勝たせてやろう」と思うのはどんな状態でしょうか。

普段からソーシャルメディア上で積極的に投稿したりフォロワーとコミュニケーションをとったり、時には議論を交わしたり。そうやってメディア上のキャラクターを確立し「人となり」が理解されている人。そういう人が最後の最後投票日前日に、演説している画像とともに「勝たせてください!」とやると、一定数の有権者が投票する確率が上がるのです。

 

新しいメディアで「勝つ」ためには、そのメディアを普段から使いたおしておくことです。自分の名前でやるのがまだ不安なら、匿名で趣味のアカウントで運用し、独特の言い回しや機能を身につけることから始めてもいいかもしれませんね。

もはや、逃げられません。やったもん勝ちです。

次回はどんな候補者さんがどんなソーシャルメディア運用をするのでしょうか。楽しみです。

 

田村でした。

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