朝日新聞将棋取材班が棋譜中継権利侵害に対して発信したツイートについて思うこと
きのうこれが燃えてました。
@syougito 朝日新聞将棋取材班です。朝日杯の棋譜中継は権利の侵害に当たります。即時、中止してください。
— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) 2017年6月17日
このアカウントが言及しているとおり権利侵害にあたるのか。そもそも「中継」の定義はなんなのか。後日だったら載せても良いけど、その時リアルタイムに棋譜を載せるのはダメなのか。など、様々な意見が飛び交っております。
図式としては、指摘された本人は素直に聞いたものの、そのツイートを見たほかのユーザーから様々な見解が書き込まれ「炎上」に近い状態になったというところですね。
僕は将棋に詳しくもないですし、これが権利侵害にあたるのかどうかなどまったくわかりません。ここはひとつ、ソーシャルメディアコンサルタントとしてこの現象を見て感じたこと2つ書きます。
1.もはや「ソーシャルメディアでそれを言うのはやめてくれ」と言っても誰にも止められない。
目の前にあるものを撮影しInstagramにアップする。テレビで放送されているものの内容をすこしずつツイッターで共有する。などなど、ユーザーの行為を権利者であろうが誰であろうが、止めるのはもはや不可能です。
そういえばちょっと前、渋谷駅のハチ公の前でデビューしたばっかりのアイドルがステージで歌ってたのですが、最前列に「撮影禁止」「SNS投稿禁止」と書いた看板を持った係員が立ってました。それを見た高校生「んじゃ人前にでてくんなよ」と。
そういうことです。モラルやマナー、ましてや法律を守らないといいけないということは大前提なのですが、現実そうなのです。一次情報を発信する企業やメディアはそれを理解しておかなければいけない時代なのです。
2.出てしまうものはしょうがない。ではどうするか。
1年ほど前に海外のアーティストの事例をどこかのニュースで読んだ記憶があります。
違法アップロードがYouTubeやFacebookで増えてきた
↓
DVDやライブチケットの売上減少を懸念し、当初は削除依頼をひとつひとつ出していた。
↓
時間が経過するとともに違法アップロード数が膨大となり、削除依頼の作業が追いつかなくなってきた。
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逆手に取ることを思いついた。
↓
「自分の動画や画像を持ってたら、どんどんアップロードしてねー。」とメッセージを発信。
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さらにアップロードされるコンテンツが増加(本人が良いと言っているのでもはや違法でもなんでもない)。
↓
認知度が高まりDVDとかライブチケットの売上が伸びた。
みたいな内容の記事だったと思います。(検索しても見つかしませんでした。これ読んでる方の中でもし思い当たるものがあれば教えてください。リンク載せます。)
それとかこんな意見もあります。
YouTubeへ違法アップロードが気持ち的にダメと言い切れない理由
この記事、サブタイトルは「文化資産は企業や団体ではなく個人が持っている」です。
ダメと言ってもやる人間がいるのなら、それを使って自分のメリットを考えた方が早そうです。
3.振り切ったらこうなる
大ヒット中の絵本『えんとつ町のプペル』を全ページ無料公開します(キンコン西野)
著作をタダで公開しちゃった例です。タダで公開されていますが書店やAmazonでは実物が有料で販売されています。
これも結構賛否両論あったのですが、著者の西野さんは「タダで見てそれで買わないひとはそれでいい。それよりも、それでも本を買いたい人と思ったひとが買ってくれればいい。」というスタンスです。実際にこれで売上が落ちたようなことも無いそうです。
個人的に将棋ってあんまり触れることがありません。たまに温泉いったら置いてるのでやるぐらいです。僕みたいな人間が「これはすごいことなんですよ」とか言われて棋譜見せられたら、「ん、どこがすごいの??ほうほう!おもろい!」とかなるかもしれないですよね。で、「これ朝日新聞に載ってるんですよ」って言われたら見るかもしれないですよね。
著作権や肖像権を厳重に守りすぎ、認知度を上げるチャンスを逃していることが世の中結構あるのかもしれません。「著作権が侵害されている!」と思うのか「タダでPRしてくれてるやっほい!」と思うのか。
目くじら立てる前に一息ついて「ちょっとまて、コレ逆にうまく利用できないか??」と考えてみるといいかもですね。まあ、誰がどう見ても絶対に許せないパクリ事例なんかもありますので、一概には言えませんが。
田村でした。
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