企業SNS運用の根本的な問題に対する解決策をあちこちでべらべら喋ってきました
さてまだまだ暑い秋口ではございますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。おかげさまでこの半期も何件か新しいお客様からSNS運用のご相談をいただき、お話を聞いてまいりました。
びっくりするんですが、そのほぼすべてが「長年運用してきたSNSの目的が曖昧になっている。設定したKPIが目的と直結していないように感じる。どないしましょ?」「2020年の年初ぐらいから今運用しているすべてのSNS群の方針を構築しなおしたいが、どこから手をつけたらいいのかを迷っている」というものでした。
私は2010年の後半より企業にSNSのサポートをすることで生計を立てていますが、この仕事を始めた当初は「Twitterってなんじゃ?」「アメリカから来たFacebookっていうのが最近は日本でも流行ってるらしいねぇ。」みたいな世界でした。この9年で、企業の情報発信媒体としてSNSはもはやインフラとも言える状況になりました。
ツイッターやりましょうよー、と言ってたらオッサンにチャットで「SNSなんかクソくらえ!(原文ママ)」とか言われてたんですが、いやいや隔世の感がありますねい。
さてさて、これを活用する側の企業さんはこの9年の間に、新しいSNSが登場するたびにそれぞれのSNSにアカウントを開設し、アルゴリズムが変わればそれに対応し、広告メニューが充実すればこれも併用したりと、機能や特徴に対応奮闘されてきました。
さらに運用スタイルについても多種多様。エンゲージが大事だという論もあれば口コミの創出こそがSNSの本質だという説もあり、はたまた単なる広告媒体として活用すれば良いと言われるようなケースもあります。
どの説も単体で見ると非の打ち所がなく全面的におっしゃるとおりです。ただ、個々の企業さんの運用目的や「SNSに求めるもの」と巷にある各論を照らし合わせると、明らかなミスマッチが起こることがあります。
「いまよりもユーザーと近い距離でコミュニケーションをとりたい」と考えている企業さんに対して、「フォロリツキャンペーンが流行ってるのでガンガンやってフォロワーを獲得しましょう!」と言っても、なんか違うのです。
SNSが日本の社会に深く浸透することで、企業が利用するべきメディアの数も増え、それぞれのSNSを利用しているユーザーも数千万人単位となり、「これが正解」と自称する運用論も無数に発生するなか、対応する企業さんは「んーーじゃウチは、どれをどうしたらええんじゃいったい!!!」とやや混乱気味になっておられるのが今なのかなーと、感じたここ2週間でありました。
ここ数ヶ月でお伺いした企業さんには、「サポートする代理店やコンサルタントによって推すSNSが違ったり方針もそれぞれだったりします。でも、根幹の部分は御社がしっかり考えないとだめです。代理店にサポートを依頼するにしても、そこに御社の意思が無いとまた同じことが起こりますよ。」みたいなことをお伝えして帰ってきました。
本日土曜の朝、ひととおり内容を振り返っていると「おっ、これ、ええブログネタやんけー」とふと思ったので、お伝えできる部分のみ以下に記載しておきます。
1.もういちどちゃんと運用の目的を決めましょう
SNSに携わってるあなたなら何度聞いたかわからないであろうこのセリフ。「目的」がSNS運用のすべての根幹です。以前に決めた目的のまま進めるのか、新たに異なる目的を設定するのかを決めてください。
「特に目的は決めずに言われるままSNS運用を始めた。そもそも他社はどんな『目的』を定めているのか?」という場合もあります。はい。他社さんではこんな感じで目的を定めています。
◆認知拡大。とにかくたくさんの人に自社そのもの、もしくは自社のプロダクトについて知ってもらう。
◆ユーザーとのコミュニケーション。SNSを通じてコミュニケーションを図り、企業とユーザーとの距離感を小さくする。メーカーなど直接ユーザーとの接点が少ない企業さんなどがSNS運用の目的として設定されることが多い。
◆売上拡大。SNSを活用して売上を伸ばしたり集客数を上げる。
◆宣伝。他のメディアでも展開している広告活動をSNS上でも行う。
◆告知。宣伝や売上、認知拡大などをSNSに求めるのではなく、自社が伝えたい活動を淡々と伝える。すでに企業やその商品についての知名度があり、社会貢献活動や採用のために社風を発信したいケースなど。
実際に私がクライアント様をサポートする時にはここから派生してさらに目的を細分化していくのですが、大きく分けるとこんなところです。
また、どれかひとつを選択しなければいけないというものでもありません。「告知しながらコミュニケーションも図りたい」とかでも全然いいです。正解はありません。あなたの会社の固有の状況をベースに、何をしたいのかを決めることが重要です。
2.どのSNSを活用するのかを決める
基本的には「流行ってるのはぜんぶやる」べきだというのが私の個人的な考えではあります。もともと営業職なので、労力も費用も少なく多くの人に知ってもらえるならやらなソンソンというのが根底にあったりするので。。
Twitterしかやっていない方もいれば、Instaのストーリーズばっかり見てる人もいます。Facebookもログインしなくなった人にとっては使えないSNSという認識をお持ちかもしれませんが、いやいやぜんっぜんアクティブです。
まずは特定のSNSしか利用していないユーザーに対して、そのユーザーがSNS内で検索した際に企業の公式アカウントが表示される状態にしておいてほしいのです。
とはいえいろんな企業さんを見ていると、すべてのSNSに同じ熱量を持って取り組むのは現実的に難しい場合がほとんどです。なので、目的に合わせてどのSNSをあなたの会社の主力SNSとするのかを決めます。
コミュニケーションを重視したいならTwitter、ビジュアルを中心に商品を見せたいならInstagram、ビジネスユーザーにアプローチしたいならFacebookやLinkedIn。もしくはSNS運用担当者がツイ廃だからとりあえずTwitterをやりましょかー、などなど。
説明がちょっと雑ではありますが、こうやって目的や体制と照らし合わせて主力SNSを決めます。主力SNS以外のSNSでも定期的に更新をしていただきたいところですが、人員的に厳しければネタを使いまわしても構いません。
ちょっと話は飛びますが、個人的に嬉しかったのは、意外とLinkedInに興味を持ってくださるお客様が多かったことです。
最近お伺いした企業さんのうち、結構な数の会社さんがLinkedInの企業ページをすでに持っておられ、残りの企業でも「LinkedInにもFacebookページみたいなのがあるんですか?」と、こちらが言う前に聞かれるケースもありました。
LinkedInの企業ページはこれを見ながらつくってみてくださーい、と伝えておきました(宣伝)。
↓↓↓↓
「LinkedInで会社ページを活用しよう」コースへようこそ!、コース: LinkedInで会社ページを活用しよう、講師: 田村 憲孝
3.KPIを(定めるのか定めないのかを含め)決める
SNSが普及しその効果を計測するために、エンゲージメント率、ファン・フォロワー数、口コミの数など「この数値をみるべきだ」という指標が多々提唱されるようになりました。
どれも正しいのですが、あなたの会社にとってどの考え方が正しいかはあなたの会社の人にしか判断できません。
たとえば、社内活動やCSR活動を確実に世に知らせたいという場合、エンゲージメント率をKPIとしながら「良かった、悪かった」と評価するのはナンセンスだったりします。
このようなケースでは、エンゲージメント率というKPIを達成するために、本来あなたが世に知らせたい内容とはかけ離れた、エンゲージメントが高そうな映える内容を発信するなど、本末転倒な状態になることもよくあります。
一方では確かに、何かしらのKPIを設定しないと運用が惰性になることもあります。なので最低限のKPIは設定するのがベターです。
ただ上記のように、KPIを追うことで本来の目的から逸脱することが無いようにKPIを低い数値にしたり、KPIを達成することの重要度を低くすることも考えてみてください。
なんとなく、日本企業にとってのSNS運用も過渡期であるように感じます。もしあなたの会社でも同じような問題を抱えているのなら、その運用目的から再度見直してもらうといいかもしれませんね。
田村でした。
プロフィール・実績・掲載メディア(雑誌・新聞)・お問い合わせ