コンテンツマーケを失敗する企業が勘違いしていること


コンテンツサイトの運用方針

 

こないだ。とあるクライアント様のところへお伺いしたときのお話し。

お客様「コンテンツサイトみたいなのを始めたんですけど、最近は更新してないんです。どうですかねこれ。」

田村「え、どんなんですか?」

お客様「(PCカチャカチャー)これなんです。もう全然問い合わせが無くて。」

田村「はっはーーー。これはコンテンツサイトというより、説明長めのECサイトですねい。。。。」

 

業者さんから「これからはコンテンツマーケティングです!」と言われサイトを立ち上げ、投稿するコンテンツも全部任せていたそうです。そこには商品をひとつひとつ、1000文字ほどのテキストと画像で紹介する記事が並んでいました。「お買い得!」とか「大絶賛」とか。。

まあ、言わせていただくと、このクライアントさんにコンテンツサイトをやるように勧めたひとはコンテンツサイトのなんたるかをまったく理解していません(バッサリ)

んじゃコンテンツサイトって何よ?ってなるわけですがその前に、なぜコンテンツサイトが重要視されるようになったのか、その背景を考えてみましょう。

 

ひとの購買行動モデルというのがあります。クッソ小難しいマーケティング用語みたいなのを喋るのは嫌いなんですが、今回は泣く泣く、できるだけみなさんが知ってるようなものを選んで使います。

一昔前は「AIDMA」っていうのがありました。
Attenntion(注目)➝Interest(興味)➝Desire(欲求)➝Motive(動機)➝Action(行動)この過程の頭文字を取ったものです。

これ、こういうことです。

テレビのCMでクルマを見た(Attention)➝うわ、かっちょええやんけ!と思った(Interest)➝これほしいなおい!(Desire)➝ちょうどあと3ヶ月後車検や(Motive)➝買うてもたがな(Action)

なんとなく似たようなことがあなたにもあるのではないでしょうか。でもやっぱりこれ「一昔前」なのです。今はこうはいきません。

 

「AIDMA」につづいて「AISAS」っていうのがあります。これは

Attention(注目)→Interest(関心)→Search(検索)→Action(行動)→Share(情報共有)という流れです。

ネットのニュースとかでiPhoneの新しいのが出ると知る(Attention)→こんどはなんかあたらしい機能あるんやろか?機種変しよかな。。(Interest)→ちょっと事前の評判とか調べてみよ(Search)→これはええわ。予約して買おう!(Action)→前のよりサクサクや!Facebookに投稿しよ♪(Share)

まあ、大体いまはモノを買うときってこんなパターンじゃないでしょうか。

 

最近はAIDMAではなくSIPSとかいうのもでてきてます。

SIPSは、共感する(Sympathize)➝確認する(Identify)➝参加する(Participate)➝共有・拡散する(Share&Spread)というプロセスになります。これ、僕はなんかしっくりこないので詳細は省略します。

 

AIDMAとAISASを見比べると、僕自身はぶっちぎりで後者AISASのパターンでモノを買うことが多いです。最初そのものを知り「注目(Attention)」、そのあと、かっちょええやんけ(Interest)になります。そのあと必ずスマホかPCで検索してその商品やサービスのことを検索します。AISASでいう「Search」ですね。

検索していろいろ調べた結果、問題無いと判断したら実際に購入(Action)して、そのあとソーシャルメディアとかブログでその商品のことを書いたり(Share)します。

スマホでもPCでも、カバンでも書籍でも、旅行どこに行くか考えるときも、どの宿に泊まろうか検討してるときでも、ほぼこのプロセスです。

何が言いたいかというと、
1.とにかく自社そのもの、商品、サービスの存在を、対象となるユーザーに気付いてもらわなければいけない。
2.消費者は購入する前に自分でその商品のことを調べるというステップがある。
3.購入後にスマホやPCから簡単に知人(もしくは知人の知人)までレビューを伝えることができる。

まず、これをアタマに入れておかないといけないということです。

 

これを踏まえて、コンテンツサイトです。

ハッキリいうとコンテンツサイトの主な役割は「Attention(注目)」です。商品そのものあるいはその周辺情報を展開し、「ウチの会社は◯◯の専門家です」「この商品は◯◯をする人にとって便利なんです」ということを、文章だけでなく動画や画像やお客様の声などありとあらゆる素材を使ってAttention(注目)し、うまくいけばInterest(興味)してもらえるのです。

あなたの会社のコンテンツサイトから発信される情報を、いつも見ているユーザーは自然とあなたの会社に専門性を感じるようになります。検討期間の長い商品であれが、いざあなたの会社でも扱っている商品が必要となったとき、他社よりもあなたの会社と契約する(商品を購入する)確率は上がります。

コンテンツサイトの中で、常にAttentionと、程度の差こそあれInterestを生んでいるからです。

検討期間の短い、食品などの場合でも有効です。お店の棚にいつも楽しいコンテンツであなたを楽しませてくれているメーカーの商品と、そっけないほとんど更新されない昔ながらの企業ページしかないメーカーの商品がならんでいたとしたら。さらに前者の商品にはコンテンツサイトとタイアップした仕掛けがついてたりしたら。どちらを手に取るでしょうか。

 

ここで、事例をちょっとだけ見てみましょう。まずは赤ちゃん用品のbabytopia。
コンテンツサイト 事例

赤ちゃん用品って誰が買います?まあ、大体「赤ちゃんのいるおかあさん」ですよね。ということで、赤ちゃんがいるおかあさんが好みそうな情報を発信するわけです。

子供がおねしょをしても叱ってはいけない理由

とか

子供をナルシストに育てない方法

とか。

ほかもいろいろ、子育てまったく関係ない僕でも興味深く読める記事が並んでいます。babytopiaの扱う商品を必要とするであろう人たちに、その人たちが楽しめるあるいは役に立つ情報を発信し、常時ターゲットユーザーをコンテンツサイトに来てもらうようにしています。まいにちコレ見てたら赤ちゃん本◯には行きませんわな。

 

もうひとつ事例。無印良品さんの「くらしの良品研究所」。
コンテンツマーケ 無印良品

これ、書いてる時点での最新記事がこちら。

本の読み方

読書の秋、さあ今年の秋は本でも読むかああああ!と考えてる人なんかがこの記事見つけると、いろんな本の読み方とともにオシャレーな画像が目に入ります。

あとこんなのも

右脳と左脳と虫の声

これは9月に更新された記事ですね。夏から秋に、季節の変わり目に聞こえる虫の声を題材に、日本人の特長が独特の語り口で綴られています。

くらしの良品研究所では、ほとんど商品についての紹介や宣伝はありません。無印良品という企業が持っている世界観や考え方をじわりじわりと伝えています。ハマる人はずっぽしハマり、知らない間に無印良品のファンになるという流れですね。

 

事例をご覧頂きご理解頂いたかもですが、コンテンツサイトというのは始めてすぐに成果が出るというものではありません。赤ちゃんがおねしょをしない理由を知ったユーザーが、すぐに赤ちゃん用品を購入するかどうかは別の話です。

なので、コンテンツサイトではコンテンツそのものをターゲットとなるユーザーに楽しんでもらい、時間をかけてファンを熟成する場所だと考えてください。

 

常に良好なコンテンツによって、売り込まずに「Attention(存在を示す)」し続けることができるようになれば、ユーザのフェーズがInterest(興味を持つ)になったとき、Search(検索して他と比較する)をすっとばしてAction(購入)してくれるようになるのです。

成果が出るまでに時間はかかりますが、一旦ファンになってくれたユーザーはそうそうあなたの会社からは離れないでしょう。

短期的な売上を求めるのであれば、ランディングページをつくり、広告でPVを稼ぎ、CVRを計測し、PDCAを回せば良いのです。でも、そうやって獲得したユーザーは放っておくと繰り返しそのランディングページに来てくれることはありません。また広告でランディングページに来てもらうか、別途追いかける仕組みを組み込んでおく必要があります。

企業活動の中では当然目の前の売上を追う必要があります。広告からの直接的なコンバージョンも必要です。要は役割分担です。

短期的な施策で目の前の数値を追いながら、中長期的に自社のファンになってくれるユーザーをコンテンツサイトで関係性を深める。この役割を理解しないでコンテンツサイトを始めてしまうと、冒頭のお客様のように「なんにも結果が出ない」という状態になってしまいます。

 

なんのためにコンテンツサイトを運用しているかわからない、という企業のご担当者様。一度その目的やチェックしている指標を見なおし、正常な状態に戻してみてはいかがでしょうか。

 

田村でした。

 

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